「須川高原のあたり」  2021.08
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 湿原・池塘が多く点在する栗駒山麓、須川高原のあたりを、昨年に続き散策したり空撮でたのしみます。後半は里に下りて横手のあたりも見学します。

なお、同地域の関連動画はつぎからご覧ください
 2019 昭和湖・竜泉が原空撮を含む記事は こちら
 2020 栗駒野鳥の森 探検経過 空撮動画は こちら
 2021の8月は上旬が夏らしい暑い日が続いていましたが中旬から雨が続くようになってしまいました。使える日程と栗駒山周辺の天気予報を比較しながら、秣岳への登り始めは比較的涼しい翌日午前ではなく、13:30くらいから始めることにしました。
 須川温泉口から栗駒山に上るコースは、昭和湖経由の最短が有害ガスで通行止めとなっていますので、頂上が目標の場合にはやや遠回りのコースになります。今回は秣岳のあたりから奥竜泉が原を望むことを目指します。
 登山口は須川湖の近くにあります。真夏の気温の高い時間帯に、陽射しは無いのですが風は通らない林の中を登って行くと、最近の運動不足で体力を消耗してしまい、本当は先の白金草原あたりまで行ってからにしたかったのですが、標高差で400m程登った秣岳の頂上からドローンを飛ばすことにしました。
 上写真〜 低木帯に出ると見通しが開けて須川湖が望めるようになります。

 左写真〜 秣岳の頂上場見えるようになってからもしばらく急斜面が続きます
 秣岳の頂上から、栗駒山の頂上方面を望んだところです。雲の中に隠れたり現れたりしています。中央の標柱の奥に見える黄緑部分が竜泉が原で、その右上に奥竜泉が原があります。前回空撮では須川温泉近くからの操縦でしたので、剣岳に連なる稜線に遮られて操作が出来なくなることを恐れて、あまり低空飛行は行いませんでしたが、今回は両方の湿原を見通せる位置からの操縦なので、近づいて見ることが出来ます。
 ↑ 秣岳の頂上から少し東へ進むと白金草原があります。本当はここまで行って、草原を体感したかったのですが、時程と体力の関係で、ドローンで眺めるだけになりました。 登山道をどんどん栗駒山頂上方面に進みます。道は左(東)へ向きを変え上りにかかります。

 ↑ 登山道を左(北)へそれると間もなく奥竜泉が原が見えて来ます。左奥の水面は須川湖、その右の黄緑色の部分はイワカカミ湿原です。

 ↑ 奥竜泉が原の全景です。日本全図の、左が北海道で右が九州に見えなくもありません。

 ↑ 一昨年の探訪 (動画はこちら)では近づけなかった、池塘の水生植物も良く見えます。また季節も今回は8月と一月ほど遅いので、7月にはまだ枯草色が残っていましたが、今回は全面緑のふかふかな草に覆われていてきれいです。これが9月になるとモウセンゴケなどの赤味も加わって湿原はもっとカラフルな感じになります。
 今回撮影の 奥竜泉が原・竜泉が原・白金草原 の空撮動画はこちらからご覧ください。

 須川高原(須川温泉の駐車場のあたり)は、八幡平の見返り峠駐車場と同様に、奥羽山脈の分水嶺上にあります。夕日は多分水平線上に沈みます。 地面の下をぐるっと回ってきた太陽は、翌朝反対の東側から昇ってきます。ですが季節により、奥羽山脈や北上高地の山並みのどこかからになり、太平洋上の水平線からは望めません。
 左写真の中央は、鳥海山です。これだけはっきり夕暮れ時に姿が望めるのはめったにありません。
 翌朝はまだ日が高くなって気温が上がる前に名残が原から賽の河原までの散策コースを回ります。上写真は宿の前を流れる温泉の川ですが、いつも熱くて長く手足を入れられません。右上は温泉の湧出口、右は露天風呂の前にそびえる大日岩です。
 石畳の道を少し行くと蒸し風呂「おいらん風呂」の建物があります。いつも秋の店じまいが近いころに来ることが多くて湯治設備がどのようなものかよくわからなかったのですが、今回は誰も居なくてよく見学出来ました。
 私がこの地に通い始めた40年ほど前には2棟有ったのですが、今は一つだけです。料金に関する記載が見つけられませんので、無料なのだと思います。(問い合わせたわけではありません)
 下足を履き替えて細い廊下の窓とは反対側に3部屋ほどの個室があって、右のような設備があります。中央のレンガを取るとパイプがあってそこから温泉の蒸気が上がってきます。説明板によると、へその裏側を当てて毛布をかぶって蒸気を閉じ込めるようにして湯治するようです。
 雲海に浮かぶ奥羽山脈北側の山並みを望みながら少し行くと名残が原に出ます。木道の正面が栗駒山の頂上ですが、最短コースは現在火山性ガスのため通行できず、左側から巻いて登ることになります。
 私はピークハンターではありませんので、頂上にはあまり興味が無く、山腹の湿原等を主に訪ね歩くのが好きです。
 名残が原の出口から右に曲がり、剣岳の麓に広がる賽の河原に向います。剣山と標記されることもあるようですが、下から見る姿で想像した独立峰ではなく、峰の末端近くの崩落する岩峰が顕著なところです。
 小さな湿原・池塘やお花畑もあり、変化にとんだ地形を取り巻くように遊歩道が巡っていて楽しいところです。
 朝食のあとは、秣岳を間近に望む須川湖の畔に移動して、栗駒野鳥の森の遊歩道に向かいます。奥にはキャンプ場もあり、道路よりの駐車場にはトイレもあります。
 左写真で小さい地図でわかりにくいのですが赤い四角形の吹き出しが現在地で、その左の青い部分が須川湖です。現在地から右に行くとイワカガミ湿原ですが、そこへ向かう途中の橋が落ちているということで、通行不可の看板があり(左下写真)、刈り払いも行われていないようで実際に進入は困難のようです。地図上部にある栗駒野鳥の森へは、右写真のような吊り橋で沢を越えて行きます。
 2020年に来た際には、右上隅のP(駐車場)から入りましたが、今回はその対角上からになります。道と地図ではややずれている所や、現在は使われていない廃道もあります。詳しくは2020の記録地図に加筆しましたので参照ください。まとめると、網目状の歩道のうち、右(東)端と、左(西)端の道は2021現在通行不能で、中央縦方向の団子を三つ連ねたような所だけが利用可能です。
 北東側駐車場(西の隠れ谷地)から入る歩道は割合に利用者が多いようですが、須川湖側から入る道は通る人も少なく、一部は苔むしていたり、やや泥濘地もありました。でも前回同様、誰と出会うことも無く静かに散策を楽しむことが出来ます。上写真は昨年引き返した分岐点にたどり着いたところです 。
 この「野鳥の森」の観察では、今回も野鳥はほとんど見かけることが出来ませんでした。特徴としては美しい湿原・池塘が多数散在しますが、右写真の程度しか地表からは観察することが出来ません。同じ場所を上空から眺めると下写真のように見えなかった池塘がたくさんあるのがわかります。
 空撮動画はこちらからご覧ください
 

 須川高原の湿原・池塘めぐりの今年度3か所目はイワカカミ湿原です。こちらは以前にも歩いたことがありますが、すっかり枯草模様になった時期でしたので、緑が旺盛な季節に期待してやってきました。

  

 この辺りの標高は1050m程度ですので、他の区域で本格的な池塘は見られるところは少ないのですが、国道からほんの2分ほどで(駐車場からはもう少しかかる)木道から写真のような景観を楽しむことが出来ます。

 こちらの名称は別項転載記事地図にあるように「河原盆地」の方が合っているような気がします。小さな川が流れ込んで伏流水となり、一部は砂利の河原のような状態になっています。
 イワカガミ湿原の空撮動画はこちらからご覧ください。
 

  

 真夏でも涼しい別世界の山上に別れを告げて、下界へ降りて行きます。成瀬ダムの建設現場です。上写真で国道の上に見えるのは、ダムのう回路で最上流部に架かる橋です。
 
途中にある展望所には説明用の建屋もあります。巨大な重機が動くのを見ているだけでもわくわくします。

 

 細くて曲がりくねった山道の県道を通って常宿の道の駅雄勝小町で一泊としました。

 

 道の駅の売店は比較的早く閉まります。食品等の補充が必要な場合、ここだと近くに薬王堂(ドラッグストアだが食料品等も豊富)やコンビニもありますので、事前に立ち寄って牛乳等をGETしました。
 この道の駅には隣接して小町の郷公園があります。今回も昔風の建物や庭園の中を散策します。 

 前回は近くの芍薬園が花盛りでしたが夏にもいろんな花が楽しめます。子供用の遊具や建物前面を解放すると多分ステージになりそうな設備もあります。トイレもありますが日中のみ利用可なので、駐車場は広いものの、Pキャンは隣の道の駅の方が良さそうです。

 

 国道13号を北上して横手市内に入ります。特別な観光地というほどでは無いのですが昔の街並みを保存している地区があって、散策をします。

 

 みずほの里ロードをまた少し北へ移動して横手公園に来ました。トンネルを抜けるとすぐに駐車場があって、隣の車からは何やら大きなパラソルとアイスボックス等を積んだカートを引いたお兄さんが歩いてゆきましたので、何かイベント出店でもするのかと思いきや、池で釣りをする人がたくさんいらっしゃるようです。

 晴れて暑くなりそうですが、まだ気温が上がる前に城跡公演を歩き回ります。広場の近くにはSLもあります。動輪が4軸あるD51です。
 再現された天守閣があって、中に資料などがあり展望も利きます。少し遠いですが鳥海山も望めます。
 盛岡だと岩手山が間近に見えますが、近いということは過去に直接の火山災害も及んで、市内にもその地層があるようです。ここでは鳥海山の被害は及ばない(空経由を除く)ようです。
 横手と美郷のあたりは、後三年の役に関する伝承や遺跡が多くある所で、展示施設も見学させていただきました。盛岡にも前九年とか地名に残っている所がありますが、当時の歴史を紐解くのも面白そうです。
 道の駅の名称は以前はたしか「雁の里仙南」で、現在は「美郷」になっていますが、雁は前述の故事にちなんだ名称のようです。でも市外の人には良くわかりません。湧水の美郷の方が直感的によくわかってよろしいかと思います。隣接のモンベル美郷店で少し買い物をしました。
美郷の湧水箇所もたくさんありますので、まだ見過ごしていたところを何か所か回ります。中には湧水は見当たらず、祈祷所のような所もあってびっくりです。
 雁の里山本公園には広大な用地に太鼓橋やキャンプ場や運動施設や故事の説明などがあります。橋は何年か前に見た錦帯橋を連想しますが、コンクリート造りに装飾版を貼った構造です。園内にある 湯とぴあ雁の里温泉でお風呂をいただいて帰途につきました。